生活

太陽フレアの影響はいつから?健康被害や通信障害はある?

Pocket

何年かおきに話題になる「太陽フレア」。

それが地球へもたらす影響については知っているようで実はあまりわかっていないという方も多いかもしれません。

健康被害や通信障害、停電もあるようですが、それはどのような被害でいつからなのでしょうか?

私たちの実生活に問題はあるのでしょうか?

歓迎できない影響があるとしたら防衛策や対応策は?

そもそも太陽フレアとは何か、どのような影響があるのか、それはいつなのかに関して、今回は、「太陽フレアの影響はいつから?健康被害や通信障害などはある?」と題してお届けします。

 

Contents

太陽フレアの影響はいつから?

太陽フレアについては、ずいぶん前にも話題になっていました。

総務省も危険視して、検討会において報告書が出されています。

なにやら緊迫感を感じます。

 

太陽フレアとは

太陽フレアとは、太陽の表面の黒点のまわりで生じる爆発現象のことです。

その際、このようなものが放出されます。

  • X線などの電磁波
  • 高エネルギー粒子
  • プラズマ

これらが、地球に到達するのに8分から数日間かかり、その後、いろいろな影響が予想されます。

 

太陽フレア発生の周期

爆発の大きさを表す等級は全部で8段階あり、一番小さいA等級では年間で1万回ほども発生しています。

一番規模の大きいX50等級は1年間で0.02回ほどの発生率で、50年に1回の換算になります。

地球に影響があるとされる上から5番目のM等級は、ほぼ10年に1回の頻度です。

現在、太陽の活動は右肩上がりとなっています。

この太陽フレアの活動と大きく関わっているのが、太陽の表面にある「黒点」です。

11年周期で黒点の増減があり、それにより地球への影響も11年周期とされています。

 

次回はいつ?

さて、活動を活発化している太陽フレアですが、黒点の次のピークである3年後の2025年頃にピークを迎えると予想されています

黒点のピークに達すると、強力な太陽フレアが毎日のように起こる可能性があり、日本でも2025年に向けて総務省が被害想定と対策を検討しています。


次回は2025年と予想されていましたが、2024年5月8日から10日にかけて「太陽フレア」が6回も発生しました。

それも最大クラスに分類される爆発で、日本国内でもオーロラが観測されるのではないかと言われています。

今回の規模の爆発は2005年9月以来となっていますので18年8か月ぶりになります。

磁気嵐による通信障害など影響が出ないことを願いますがオーロラは少し見てみたいです。

 

太陽フレアの影響で健康被害や通信障害はある?

2012年7月に太陽フレアが発生した場所は、地球から見てちょうど太陽の裏側でした。

高さは10万kmほどにもおよび、秒速にして1,000キロメートル以上のスピードで「プラズマ(電気を帯びたガス)」が大量に噴出されるのが観測されました。

もし、太陽の地球側で発生していたなら「現代文明を18世紀に後退させたかもしれない」と海外メディアは報じています。

では何が、文明をも後退させるような事態を引き起こすというのでしょうか。

 

実際に過去にあった影響

これまでに確認されている影響から、太陽フレアの持つ力を感じることができるかもしれません。

 

電信システムの壊滅的な故障

1859年9月1日、世界各地の電信システムが故障に見舞われました。

技術者からはこのように報告されています。

  • 電気ショックを受けた。
  • 電信用の紙が燃えた。
  • 電池を抜いた状態でも機器を操作できた。

このような現象に加えて、通常は見ることができないオーロラが南米のコロンビアで観測されたという記録が残っています。

プラズマが地球に到達するとオーロラの他にも電気にも支障を与えるのです。

 

アメリカ大統領が搭乗したエアフォースワンの通信障害

1984年4月24日、当時のアメリカ大統領ドナルド・レーガンを乗せた大統領専用機エアフォースワンが突然、1時間以上に渡って太平洋上で音信不通になりました。

その頃なら「ソ連が?」と思うかもしれませんが、既に数日前から連なっていく黒点は専門家たちの間で観測対象となっていましたので、太陽フレアによるものだとすぐに判明しました。

黒点の長さは地球の20倍以上にもなっており、大統領であったとしても太陽に抗うことはできませんでした。

 

カナダ ケベック州の大規模停電

1989年3月、1年に1回程度発生するXクラスの太陽フレアが発生しました。

その影響で、カナダ・ケベック州ではおよそ9時間にもわたり停電し、600万人が影響を受ける事態となりました。

このとき太陽では「プラズマ(電気を帯びた粒子)」が発生していました。

同時期にアメリカ・ニュージャージー州では変電所が破壊されています。

過剰な電流が流れてしまい、変圧器がショートしてしまったのです。

地球は通常は磁場に守られており、プラズマの侵入はできません。

ところが時折、北極などでは入り込んだプラズマが磁気嵐、つまりオーロラを発生させます。

これが送電線に入り込み異常な電流を発生させたために電力設備の機能が失われました。

現代でこのようなことが起これば、電力に依存している我々への影響はこの時にも増して多きなものとなるでしょう。

例えば、インターネットやGPS、人工衛星が被害を受ければ普段の生活自体に支障が出るのは明らかです。

 

そのほかにも次々と。。

・2001年4月には、飛行中の航空機と管制官の間で40分間、通信が途絶えました。

・2022年2月には、上空の空気が太陽フレアにより過熱され膨張し、衛星が軌道をはずれアメリカのスペースエックス社の通信衛星49基のうち最大40基もの衛星が大気圏に落下する事態となりました。

・2003年には、多くの日本人が見守るなか、宇宙探査機「はやぶさ」1号機が小惑星イトカワに向かう途中に太陽フレアの影響を受けてしまいます。

粒子の直撃により、はやぶさの太陽光パネルが劣化したため出力が低下し、航行スケジュールに遅れが生じました。

ニュースでは耳にしていたものの、それよりもはるかに大きな太陽フレアが数年後に迫っているというのはにわかには信じられません。

大規模な太陽フレアが発生した場合、これらの被害額は日本の国家予算を上回る1兆ドルから2兆ドルにもなるとアメリカで試算が行われています。

 

予想される健康被害

太陽フレアの増減によらず、太陽からは定期的に荷電粒子が放出されており、「太陽嵐」となって地球に吹き付けています。

そのような影響が地球上で最も強く表れるのが「カスプ領域」に住む人々です。

この地域の方々の健康状態を調べたところ、太陽風が精神疾患や炎症といった健康上の問題と相関している可能性が示唆されています。

極域のような北極圏は、太陽風のプラズマが直接上層大気に到達するので、特に「カスプ領域」と呼ばれる地域では、太陽風の影響が最も顕著に現れる場所として知られています。

「宇宙への窓」としても知られている場所です。

つまり、プラズマが吹き込む場所ということです。

太陽フレアなどによる磁気圏の乱れは、電磁波などを伴って人体に影響を与えると考えられています。

スマホなどから発せられる電磁波でも体調を悪くされる方がいます。

そのような方は、自ら電磁波を避ける意識によりある程度遠ざけられますが、太陽フレアによるものであれば簡単には避けられなくなります。

ある特定の磁場は脳と血管の活動に影響し、特定の精神状態を左右する可能性があるとも言われています。

なお、女性の方が感受性が強いとする研究結果もあるそうです。

オゾン層への影響もあります。

オゾン層の減少があれば、皮膚がんの誘因にもなり得ます。

また、多くの医療機器が電気を使っていますので、二次的な影響が予想されます。

 

予想される通信障害

太陽フレアによってGPSなどの測位衛星からの電波にズレが生じ、カーナビやスマートフォンの位置情報などが正しく機能しなくなることが考えられています。

緊急時に対応が必要な消防、警察、鉄道、タクシーなどの無線に影響をおよぼし、公共サービスの維持が難しくなります。

宇宙に詳しい専門家は「スマホなどの電波を使用するものは、太陽フレアによって妨害される場合がある」と言っています。

最悪の場合、2週間にわたって断続的に携帯電話やスマートフォンのインターネットなどに不具合が出て社会が混乱することが懸念されています。

人工衛星にも支障が出た場合、GPS(測位衛星)の不具合。により数十メートルもの誤差が出れば位置情報自体が不確かなものとなりかねません。

農業、配送、建設など各分野で、今後の普及が予想されるドローンが衝突したり、墜落したりなどの事故もあり得ます。

GPSを使用している自動車の自動運転で大きな誤差が生じたら大事故につながります。

 

太陽フレアの影響への対応策はあるのか

大規模な太陽フレアが発生すれば地球への影響が懸念されます。

それは、もしかしたらわずか数年後の2025年のことかもしれません。

 

防災意識で生活を守る

この点では、防災対策と通じるものがあります。

 

防災グッズを見直す

非常食に飲料水、寒暖を凌ぐ毛布類や停電に備えて懐中電灯や蓄電池など一般的な防災グッズは備えておいた方が安心です。

 

連絡手段の見直し

携帯電話が使用できなくなるかもしれません。

仮に通信障害に至っていないとしても回線が混み合い、通じにくくなるかもしれません。

今では数少なくなった公衆電話の位置を確認しておくにこしたことはありません。

 

宇宙天気予報

SFじみたタイトルに見えるかもしれません。

これからの太陽フレア対策として特に重要だと考えられています。

東京・小金井市の国の機関NICT(情報通信研究機構)では「宇宙天気予報」を1988年から行っています。

予報は、専門家たちの話し合いで毎日2回決定されます。

まず伝えられるのは、当日の太陽フレアの規模や回数などで、1日先までの太陽フレアの予報を「非常に活発」「活発」「やや活発」「静穏」の4段階で発表します。

登録している企業や研究者たちに毎日メールで通知しています。

普段と異なる現象が起きれば、即時に臨時情報として伝えています。

これが、「宇宙天気予報」です。

人工衛星の落下も数日前に発生していた太陽フレアの影響を加味していれば、避けられたことかもしれません。

 

まとめ

2022年、国は100年に1度、あるいはそれ以下の頻度で発生する規模の太陽フレアが発生した場合どのような影響があるのか、最悪のシナリオを前提に6月に報告書を発表しました。

総務省 宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会が作成した報告書は、その名も「宇宙天気の警報基準に関するWG報告:最悪シナリオ」です。

もうひとつの報告書のサブタイトルには「「文明進化型の災害」に対応した安全・安心な社会経済の実現に向けて」となっていて、「文明進化型の災害」という言葉に身が引き締まります。

影響はいつからか予想がついているなか、健康被害や通信障害をあらかじめ知っておくことで被害を減らしていただければと思い本記事を作成しました。

今回は「太陽フレアの影響はいつから?健康被害や通信障害などはある?」と題してお届けしました。